香乱記 / Kouranki

Biography

秦末の動乱期、項羽や劉邦と並び立った斉王・田横の生き様を描く。著者をして「理想像」と言わしめた不屈の英雄を描く傑作、明鏡止水の第四巻、

香乱記 (1) / Kouranki-1

悪逆苛烈な始皇帝の圧政下、天下第一の人相見である許負は、斉王の末裔、田氏三兄弟を観て、いずれも王となると予言。末弟の田横には、七星を捜しあてよという言葉を残す。秦の中央集権下では、王は存在しえない。始皇帝の身に何かが起こるのか。田横は、県令と郡監の罠を逃れ、始皇帝の太子・扶蘇より厚遇を得るのだが……。楚漢戦争を新たな視点で描く歴史巨編、疾風怒濤の第一巻。

香乱記 (2) / Kouranki-2

始皇帝は没した。宦官・趙高の奸策により公子扶蘇は自害。皇帝として末子胡亥が即位した。胡亥・趙高により苛政はより激しさを増した。九百の雑役夫を率いて辺境の守備に向かっていた陳勝と呉広が、悪天候による移動の遅れから、「遅参も死、逃散も死、どうせ死ぬのならば」と、蜂起した。反乱軍は瞬く間に万を超え、ついに戦乱の火ぶたは切られた。群雄湧き起つ、烽火燎原の第二巻。

香乱記 (3) / Kouranki-3

秦の不敗の将軍、章邯に包囲された絶体絶命の魏王を救うべく、田たん率いる斉軍は、臨済へと向かった。秦軍は二十万、迎え撃つ魏斉連合軍は十万。田たんは、章邯の自在な用兵、精緻な機略の前に苦戦を強いられる。田横は義を以て楚に援兵を乞い、楚の勇将項梁は、項羽・劉邦・黥布らを率いて、章邯の大軍と激突する。楚漢戦争前夜、帝国秦の終焉を圧倒的迫力で描く、驚天動地の第三巻。

香乱記 (4) / Kouranki-4

無辜の民をも殱滅する残虐無比の項羽と、陰謀と変節の梟雄劉邦。中国の人口を半減させたといわれる楚漢戦争が勃発した。緒戦こそ劉邦は項羽に敗れたものの、劉邦の壮大な包囲網に項羽は追いつめられていく。人民にその高潔英邁を尊崇された不撓の人、田横の正義さえも、漢軍の奔流に呑まれていく。著者をして「理想像」と言わしめた不屈の英雄を描く傑作、明鏡止水の第四巻、完結編。