孟嘗君 / Moushoukun

Biography

斉の公族・田嬰の子として生まれた文は、不吉な5月5日生まれということから実の父から殺されそうになる。危機を脱した田文は商人の白圭に育てられることになり、商鞅、孫臏らと交わるうちに人として大きく成長していく。斉、魏、秦の宰相を歴任し数千人の食客を抱え「鶏鳴狗盗」などの故事でも知られる孟嘗君・田文の物語。

孟嘗君 (1) / Moushoukun-1

斉の君主の子・田嬰の美妾、青欄は、健やかな男児・田文を出産した。しかし、五月五日生まれは不吉、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母青欄が密かに逃がした赤子は、奇しき縁で好漢風洪に育てられる。血風吹きすさぶ戦国時代、人として見事に生きた田文・孟嘗君とその養父の、颯爽たる人生の幕開け。

孟嘗君 (2) / Moushoukun-2

快男子風洪は学問に志し、武を捨てて商人・白圭と名告る。戦乱の国々を行き交う学者や商人たち。秦の孝公は覇道を進み、公孫鞅に厳格な法の体系をつくらせる。白圭は美しい翡媛を妻に迎え勇躍、魏に囚われた、天才軍略家孫びんを救い出す。法に生きる冷厳な男と、侠に生きる熱い血の男の、鮮やかな対比。

孟嘗君 (3) / Moushoukun-3

成長した田文を孫ぴんに託して、白圭は周へ移った。師の孫ぴんに導かれて、仁の資質、信の確かさを増す田文。「わたしは文どのに広い天地と豊かな春秋をあたえたい」――。遂に孫ぴんは田文を実父田嬰(でんえい)に引き合わせ、田文は貴人の家の子にもどった。全土に秦・魏・楚が屹立する中、斉王は孫ぴんを軍師に決定した。

孟嘗君 (4) / Moushoukun-4

馬陵(ばりょう)の戦いで、斉(せい)は魏(ぎ)に大勝するが、斉王の周囲で佞臣(ねいしん)が暗躍を強める。田嬰(でんえい)・田文(でんぶん)父子は、有能な食客たちの力も使って必死に対決する。周で商人として成功し、仁愛の事業を進める白圭(はくけい)を訪ねた田文は、そこで哀しい美女洛芭(らくは)を知る。戦国時代も半ば、次第に英傑の稟性(ひんせい)を示しはじめた田文は27歳になった。

孟嘗君 (5) / Moushoukun-5

嘗邑(しょうゆう)を与えられた孟嘗君・田文(でんぶん)は、「天下万民のための宰相たれ」との孫びんの遺言で斉を出る。魏に乞われて宰相となり、斉にもどって宰相をつとめ、更に秦に赴くが、そこで生涯最大の危機を鶏鳴狗盗(けいめいくとう)で切りぬける。激しい争乱の世と、人間を愛して生きた戦国の名宰相を描ききった、感動の歴史ロマン。全5巻完結。